住友林業で家づくりを検討し、いざ初めての見積もり書を受け取った時、多くの施主がその金額に驚愕し、明細の最後にある「謎の項目」に目を丸くします。それが、ネット上やSNSの施主界隈で通称「きこりん税」と呼ばれている、高額な【諸経費】の存在です。
本体価格やオプション費用とは全く別に、総額の1割以上もの大金が「諸経費」として上乗せされる仕組みに、「なんだこのぼったくりシステムは!」「オプションをつければつけるほど諸経費まで上がるなんておかしい!」と不信感を抱いてしまう方も少なくありません。しかし、この費用の正体を正しく理解していないと、無謀な値引き交渉で営業マンとの関係を悪化させたり、予算計画が狂って家づくりそのものが頓挫してしまったりする危険性があります。
本記事では、住友林業の見積もりにおける最大の関門である「きこりん税(諸経費)」に焦点を当て、その具体的な内訳や計算の仕組み、そして予算オーバーを防ぐための賢い見積もりの見方について徹底的に解説します。これから住友林業と契約を結ぶ方は、この知識を武装した上で打ち合わせに臨んでください。

目次
  1. 住友林業の見積もりにある「諸経費(通称:きこりん税)」とは?
  2. きこりん税に何が含まれているのか?具体的なコストの中身
  3. 本体価格だけじゃない!きこりん税の連動システムによる罠
  4. きこりん税を少しでも安く抑える(値引きする)ことは可能か?
  5. 他のハウスメーカーにも「きこりん税」のような諸経費はある?
  6. 予算オーバーを防ぐための資金計画と見積もりの見方
  7. 施主支給を行うことできこりん税の負担は減らせるのか?
  8. 【まとめ】きこりん税を正しく理解して納得のいく家づくりを

住友林業の見積もりにある「諸経費(通称:きこりん税)」とは?

注文住宅の見積もり書には、家の本体価格以外にも様々な費用が記載されています。その中でも、住友林業の見積もりにおいてひときわ異彩を放ち、施主の頭を悩ませるのが「諸経費」という項目です。
数千万円という家づくりの総額において、数パーセントの違いは数十万円〜数百万円の差となって跳ね返ってきます。ネット上で親しみを込めて、あるいは少しの皮肉を込めて「きこりん税」と呼ばれるこの費用は、決して住友林業が不当に利益を搾取しているわけではなく、家を安全に建てるために必要不可欠なコストが集約されたものです。
まずは、この「きこりん税」が一体見積もり書のどこに記載されていて、全体に対してどれくらいの割合で発生するのか、その基本的なルールと計算の仕組みについて正確に把握しておきましょう。

見積もり書における諸経費の項目と「きこりん税」と呼ばれる理由

きこりん税の由来

住友林業のマスコットキャラクターである「きこりん」にかけて、施主たちの間で自然発生的に使われるようになったネットスラングです。公式な名称ではありません。

住友林業から提示される分厚い見積もり書の最後のページ近くに、「諸経費」または「現場管理費・一般管理費」といった名目で計上されている項目があります。これが俗に言う「きこりん税」の正体です。消費税のように、家を建てる際にかかる費用の総額に対して自動的に「税金」のように掛けられて加算されることから、いつしかSNSやブログ等で「きこりん税」と呼ばれるようになりました。
もちろん、住友林業の営業マンに「きこりん税って安くなりませんか?」と聞いても、苦笑いされるか、あるいは通じないフリをされるのがオチです。正式にはあくまで会社の運営や現場の管理にかかる「諸経費」であり、どこのハウスメーカーで建てても必ず発生する経費です。ただ、住友林業の場合はこの諸経費が「別項目」として明確かつ高額に表記されるため、施主の目に留まりやすく、このような独自のあだ名が定着するに至りました。
初めて見積もりを見た方は、本体価格以外に数百万円もの「諸経費」がポンと乗っているのを見てショックを受けるかもしれませんが、これは決してぼったくりではありません。家づくりにかかる見えないコストを、住友林業が包み隠さず正直に明記しているだけだとも言えます。まずは「こういうシステムなんだ」と冷静に受け止めることが第一歩です。

建築本体工事費に対して掛かる「約12%」の費用の内訳

きこりん税(諸経費)の割合は、原則として「建物本体工事費+提案工事費(オプション)」の合計金額に対して『約12%』で計算されます。

きこりん税の最も恐ろしいところは、固定の金額ではなく「割合(パーセンテージ)」で計算されるという点にあります。一般的に、住友林業の諸経費率は「12%」に設定されていることがほとんどです。(※地域や建物の規模、時期によって微小な変動がある場合があります)
例えば、建物本体の価格が2,500万円だった場合、その12%である「300万円」が諸経費として上乗せされます。この時点で総額は2,800万円になります。仮にオプション(提案工事)を何もつけなければこの金額で済みますが、注文住宅においては必ず様々なオプションを追加していくことになります。
ここが最大の落とし穴なのですが、この12%という魔法の数字は、「オプションを追加した後の総額」に対して掛けられます。つまり、100万円の高級キッチンをオプションで導入すると、自動的にその12%にあたる12万円が諸経費として上乗せされ、実質的な出費は「112万円」になってしまうのです。この「連動してどこまでも上がっていくシステム」こそが、きこりん税が施主から恐れられている最大の理由です。

きこりん税に何が含まれているのか?具体的なコストの中身

「12%も持っていかれるなんて、住友林業のボロ儲けじゃないか!」と怒りたくなる気持ちは非常によくわかります。しかし、数百万という金額の内訳を知れば、決して無駄な利益を上乗せしているわけではないことが理解できるはずです。
家を建てるという一大プロジェクトには、目に見える木材やキッチンの設備だけでなく、裏で動いている無数の人々の労力や、現場を安全に維持するための見えないコストが膨大にかかっています。これらのコストを本体価格にこっそり紛れ込ませるメーカーも多い中、住友林業はあえて「諸経費」として抽出して提示しているに過ぎません。
ここでは、その数百万円の「きこりん税」の中に一体何が含まれているのか、具体的な中身を解き明かしていきます。これを知っておけば、見積もりに対する納得感が全く変わってくるはずです。費用の内訳については、予算オーバーを防ぐ住友林業の見積もりチェックリストの記事もあわせて確認しておきましょう。

現場監督の人件費や仮設トイレ・足場などの現場運営費

現場を動かすためのリアルなコスト

家を建てる現場を維持し、職人たちが安全かつ効率的に作業を行うためには、目に見えない数多くの経費が継続的に発生しています。

きこりん税の大きな割合を占めるのが、工事現場を円滑に運営するための「現場管理費」です。代表的なものとして、数ヶ月にわたって工事の進捗を管理し、品質をチェックする現場監督(生産担当)の「人件費」や現場への「交通費」が含まれます。彼らがしっかりと現場を管理してくれるからこそ、住友林業の高い品質が担保されています。
さらに、大工さんや職人さんが現場で使用する「仮設トイレ」の設置・汲み取り費用や、工事中の現場を囲う「仮設フェンス」、そして高所作業に絶対不可欠な「足場」のリース代や組み立て費用もここから捻出されています。これらは家が完成すれば撤去されて形には残りませんが、家を建てるためには絶対に省くことができない必須アイテムです。
また、工事期間中に発生する電気代や水道代、さらには近隣住民への挨拶回りの粗品代から、万が一事故が起きた時のための工事保険料に至るまで、現場を動かすためのありとあらゆる雑費がこの諸経費の中にパッケージ化されています。「家という製品」の裏側には、これほどまでの「運営コスト」がかかっているのです。

図面作成や構造計算にかかる設計関連の隠れたコスト

住友林業が誇るビッグフレーム構法の強靭な構造は、一棟一棟行われる綿密な「構造計算」によって裏付けられています。この設計コストも諸経費に含まれます。

現場の運営費に加えて、きこりん税のもう一つの重要な柱となるのが「設計や事務手続きにかかる費用」です。住友林業で家を建てる際、優秀な設計士(アーキテクト)がついて何度も図面を書き直し、理想の間取りを追求してくれますが、その労力に対する対価(設計料)の大部分が諸経費として計上されています。
特に住友林業の代名詞である「ビッグフレーム(BF)構法」は、間取りの自由度が高い反面、一棟ごとに非常に複雑な構造計算(耐震性のシミュレーション)を行わなければなりません。この構造計算を行うためのシステム利用料や、専門スタッフの人件費も、当然ながらタダではありません。地震に強い安全な家を設計するための、極めて重要なコストだと言えます。
また、役所へ家を建てる許可をもらうための「建築確認申請」にかかる莫大な事務手数料や、各書類の作成費用、さらには住友林業という会社全体を維持するための一般管理費(本社の経費など)も、この12%の中に含まれています。これだけ多岐にわたる費用をカバーしていると考えれば、数百万円という金額もあながち高すぎるわけではないと理解できるのではないでしょうか。

本体価格だけじゃない!きこりん税の連動システムによる罠

きこりん税の正体が「現場運営費」や「設計料」などの必要なコストであることは理解できても、多くの施主がどうしても納得いかないと感じる「最大の矛盾点」があります。それが、きこりん税が持つ「オプション金額に連動してどこまでも上がり続けるシステム」です。
「高いキッチンを選んだからといって、現場の仮設トイレ代が高くなるわけがないだろう!」「オプションを追加しただけで設計料が上がるのはおかしい!」という主張は、施主の心情としてごくごく自然なものです。しかし、システム上この連動は避けられず、知らずにオプションを追加しまくると予算崩壊の引き金となります。
ここでは、きこりん税の連動システムがなぜこれほどまでに恐ろしいのか、そして特に採用率の高い高額オプションを導入する際にどれくらいの「見えない追加費用」が発生するのかを具体的に解説します。オプション選びの際は、常に「+12%」を頭の中で計算する癖をつけてください。

オプションを追加すればするほど諸経費も自動的にアップする仕組み

見積もり書で「100万円のオプション」を追加すると、総額は100万円アップするのではなく、きこりん税(12%)が乗って『112万円』アップします。この魔法の連鎖に気づかないと予算がショートします。

住友林業の見積もりシステムにおいて、きこりん税(諸経費)は「本体工事費+提案工事費(オプション)」の合計に対して12%が掛けられます。つまり、契約後に打ち合わせを進めていく中で、クロスを高級なものに変更したり、コンセントを増やしたり、床暖房の面積を広げたりと、少しでも「提案工事費」が上がれば、それに完全に連動して「諸経費」の欄の金額もチャリンチャリンと上がっていくのです。
施主側からすれば「商品のグレードを上げただけで、現場の管理費が変わるはずがない」と思うかもしれませんが、ハウスメーカー側の論理としては「高額な設備になればなるほど、発注ミスのリスクや、傷をつけないための現場での慎重な管理・養生が必要になるため、管理費としてのリスク料も上がる」という建前があります。
このシステムがもたらす最大の罠は、施主が「オプションカタログに書いてある金額(定価)」だけで予算を計算してしまうことです。「50万円のアイランドキッチンならギリギリ予算に収まる」と思って採用を決めたのに、いざ新しい見積もり書を見ると諸経費として+6万円が加算され、さらに消費税(10%)も乗ってくるため、最終的な支払額は全く違う次元に跳ね上がってしまいます。オプション選びは常に「カタログ価格の約1.25倍(諸経費12%+消費税10%)」で計算する厳しい目を持つことが重要です。

ウッドタイルなどの高額オプションを採用する際の注意点

人気オプションの隠れたコスト

住友林業の象徴とも言える「ウッドタイル」や「無垢床」などの高額オプションを採用する際は、きこりん税の連動アップ額も相当なダメージになります。

住友林業で建てるなら絶対に採用したいと多くの人が憧れるのが、リビングの壁に木の凹凸を敷き詰める「ウッドタイル」や、高級な「チークやウォルナットの無垢フローリング」といった独自の木質化オプションです。これらは非常に見栄えが良く、一気に邸宅感が出ますが、その分オプション費用も高額になります。
例えば、リビングの一面にウッドタイルを施工した場合、材料費と施工費のカタログ価格で約20万円かかったとします。しかし、ここにきこりん税の12%(2.4万円)が連動して上乗せされるため、実質的には約22.4万円のオプションということになります。たかが数万円と思うかもしれませんが、こうした高額オプションを家中にちりばめていくと、チリツモできこりん税だけで数十万円単位の予算オーバーを引き起こします。
これを防ぐためには、設計段階で「本当にそのオプションが必要か」をシビアに見極めることが大切です。また、どうしても採用したい高額オプションがある場合は、別の部分(例えば2階の床材を標準仕様に落とす、外構のフェンスを安価なものにする等)で提案工事費を削り、総額のパイを小さくすることで、連動するきこりん税の上昇を相殺するテクニックが必要になります。

きこりん税を少しでも安く抑える(値引きする)ことは可能か?

これだけ高額で、しかもオプションに連動して容赦なく上がっていくきこりん税を前にして、多くの施主が「この諸経費の部分、なんとか値引きしてもらえませんか?」と営業マンに交渉を試みます。数百万という金額がただ「経費」として消えていくのは、精神的になかなか受け入れがたいものがあるからです。
しかし、結論から言うと、この「諸経費(きこりん税)そのもの」をピンポイントで値引きしてもらうことは、どんなに交渉スキルの高い施主であっても不可能です。ハウスメーカーのシステム上、絶対に触れてはいけない「聖域」として守られているからです。
では、きこりん税の負担を軽くすることは完全に諦めるしかないのでしょうか?実は、直接的にパーセンテージを下げることはできなくても、「間接的」にきこりん税を減額する賢いテクニックが存在します。ここでは、無謀な値引き交渉で失敗しないための正しいアプローチと、きこりん税を合法的に減らす裏ワザについて解説します。

諸経費そのものを値引きすることは原則として不可能な理由

営業マンに対して「諸経費の12%を10%にまけてよ」という交渉は絶対にやってはいけません。システムで固定されているため、営業マンの裁量では1円も減らすことができないからです。

住友林業の見積もり作成システムは、全国どこの支店であっても「本体+提案工事費の12%を諸経費とする」という計算式がハードコード(固定)されています。これは会社の利益と現場の安全を守るための最低ラインとして設定されているため、現場のいち営業マンや店長の権限であっても、このパーセンテージを直接いじって安く見せることは不可能です。
もし強引に「諸経費を削らないなら契約しない」と迫ったとしても、営業マンは困惑するだけで、最悪の場合は「これ以上は対応できない厄介なお客様」として契約をお断りされてしまうリスクすらあります。諸経費の減額交渉は、スーパーのレジで「消費税をまけてくれ」と言っているのと同じくらい無意味でタブーな行為だと認識してください。
値引き交渉を行うのであれば、ターゲットにすべきは絶対に「本体工事費」や「提案工事費」、あるいはキャンペーン適用の可否です。これらであれば、決算期などのタイミングや営業所の目標達成状況に応じて、数十万円〜百万円単位の特別な値引き(出精値引き)が引き出せる可能性があります。勝てる見込みのない諸経費ではなく、勝負できる項目で正しく交渉を行うのが賢い施主の基本です。

本体価格やオプション費用の総額を下げることによる間接的な減額術

きこりん税を合法的に減らす裏ワザ

きこりん税は「総額の12%」です。つまり、本体工事費やオプション費用を値引き交渉で下げることができれば、連動してきこりん税の絶対額も自動的に減少します。

きこりん税そのものの12%という掛け率を変えることはできませんが、計算の元となる「母数(本体工事費+提案工事費)」を小さくすれば、結果として支払うきこりん税の総額(絶対額)は確実に安くなります。これが、唯一かつ最も効果的な間接的減額術です。
例えば、交渉の末に本体工事費から「100万円の値引き」を獲得したとします。すると、単に100万円安くなるだけでなく、その100万円に対して掛かるはずだった12%のきこりん税「12万円」も同時に消滅します。つまり、100万円の値引きは、実質的には『112万円の値引き』と同等の破壊力を持っているのです。
これと同じ理屈で、不必要なオプション(提案工事)を50万円分削れば、連動して6万円のきこりん税が浮き、合計56万円の減額に繋がります。打ち合わせの終盤で予算オーバーに苦しんでいる時は、この「削れば12%のボーナスがついて安くなる」という魔法の連鎖を利用して、優先順位の低い設備を容赦なく仕分けしていくことが、予算内に収めるための強力な原動力となります。

他のハウスメーカーにも「きこりん税」のような諸経費はある?

「諸経費だけで数百万円も取られるなんて、やっぱり住友林業はぼったくりメーカーなんじゃないか。他のメーカーに行こうかな」と疑心暗鬼になっている方もいるかもしれません。見積もり書にドカンと記載された「きこりん税」のインパクトは強烈なので、そう思ってしまうのも無理はありません。
しかし、結論から言えば、積水ハウスであろうと一条工務店であろうと、あるいは地場の工務店であろうと、家を建てるための「諸経費」はどこのメーカーで建てても必ず存在しています。違いはただ一つ、その費用を「見積もり書のどこに、どうやって記載しているか」という見せ方のマジックに過ぎません。
ここでは、他の大手ハウスメーカーが諸経費をどのように処理しているのかを比較し、住友林業の見積もりが実は非常に「正直で誠実なスタイル」であることを解説します。これを知れば、他社の安く見える見積もり書の裏に隠された罠に気づくことができるはずです。

積水ハウスや一条工務店などの諸経費計上方法との違い

多くのハウスメーカーは、現場管理費や会社の利益といった「諸経費」を、あらかじめ本体価格やオプション価格の中にこっそりと含ませて(上乗せして)見積もりを作成しています。

例えば、業界最大手の積水ハウスの見積もり書を見ると、諸経費という項目が全くないか、あっても非常に少額(数万円程度)に設定されていることがほとんどです。一条工務店も同様に、目立った諸経費の項目はありません。これを見ると「積水や一条の方が諸経費を取られないから良心的だ!」と錯覚してしまいます。
しかし、実際には現場の仮設トイレ代も設計士の人件費も無料であるはずがありません。彼らはどうしているかというと、例えば原価が50万円のキッチンを顧客に提示する際、あらかじめ自社の利益や管理費を上乗せして「70万円のオプションです」と記載しているのです。本体価格の坪単価にも、最初からたっぷりと諸経費が含まれています。これを業界用語で「経費の本体含み」と呼びます。
この方式は、施主に「謎の経費を取られている」という不快感を与えないため、非常にスマートでクレームが出にくいというメリットがあります。その反面、施主から見れば「キッチン単体の本当の値段がいくらなのか」がブラックボックス化され、メーカー側の利益がどれくらい乗っているのかが全く見えないというデメリットを抱えています。

見積もり書の表記が違うだけで実はどのメーカーでも発生している費用

住友林業の誠実なスタイル

あえて本体価格を(比較的)適正価格で提示し、会社の経費や現場管理費を「諸経費」としてガラス張りに分けているのが住友林業のスタイルです。

つまり、住友林業の「きこりん税」は、他社が隠して上乗せしている経費を、わざわざ項目を分けてバカ正直に明記しているだけのものなのです。「本体の価格はこれくらいです。でも、うちの会社を維持して、安全な現場を作るために、総額の12%を諸経費としていただきます」という、ある意味で非常に透明性の高い、誠実な見積もりの出し方だとも言えます。
もし住友林業が他社と同じように「本体含み」の見積もり方式に変更すれば、明日からきこりん税という言葉は消滅するでしょう。しかし、その分だけ基本の坪単価が急激に跳ね上がり、オプションの単価もすべて高額に書き換えられるだけで、結局施主が支払う総額(トータルコスト)は1円も変わりません。
家づくりにおいて重要なのは、見積もり書の各項目の金額に一喜一憂することではなく、最終的に支払う「総額(コミコミ価格)」が、自分たちが用意できる予算内に収まっているかどうか、そしてその金額が家の価値に見合っているかどうかを判断することです。「諸経費が高い=悪いメーカー」という短絡的な思考は捨て、家全体のトータルパフォーマンスで比較検討を行うようにしてください。

予算オーバーを防ぐための資金計画と見積もりの見方

きこりん税の正体と仕組みを完全にマスターしたところで、いよいよ実践編です。住友林業で契約し、間取りや仕様の打ち合わせを進めていく中で、最も恐ろしいのが「最終見積もりでの予算の爆発」です。契約時に「これで予算内に収まりますね」と安心していたのに、着工直前になって数百万オーバーし、慌ててオプションを削りまくる…というのは、住友林業の施主あるあるです。
この悲劇を防ぐためには、きこりん税の連動システムを逆算し、契約前の段階から「絶対にオーバーしないための資金計画」を自らコントロールしておく必要があります。営業マンが作る見積もり書を鵜呑みにするのではなく、施主自身がガードを固めておくことが、理想の家づくりを無傷で完走するための鉄則です。
ここでは、契約前の見積もり書をチェックする際の重要なポイントと、諸経費以外にも必ず確保しておかなければならない「隠れた予算」について解説します。

契約前の概算見積もりと最終見積もりで差額を出さないコツ

契約時の見積もりに乗っているオプション(提案工事)は、あくまで最低限のグレードです。最終的に追加されるオプション費用と、それに連動する「きこりん税の増加分」を最初から予算に組み込んでおきましょう。

住友林業と契約する際に出される概算見積もりには、とりあえず標準的な設備や、最低限のオプションだけが計上されていることがほとんどです。しかし、契約後にショールームに行けば、間違いなく高級なキッチンやおしゃれな洗面台に心惹かれ、数十万円単位で提案工事費が跳ね上がることになります。
これを防ぐための最大のコツは、契約前の段階で「自分たちが採用したいと思っているオプション(ウッドタイル、無垢床、太陽光、床暖房など)」を、たとえ不確定であってもすべてMAXの状態で盛り込んだ見積もりを作らせることです。最初から最高額の見積もりを出しておけば、そこから「やっぱりこれはやめよう」と引き算をしていく打ち合わせになるため、最終的に予算をオーバーするリスクはほぼゼロになります。
そして忘れてはいけないのが、オプションを後から100万円追加した場合、諸経費と消費税を含めると実際には「約125万円」の予算が必要になるという事実です。契約時に「あと100万円くらいなら余裕があるから大丈夫」と思っていても、連動するきこりん税の存在を忘れていると、最後の最後で資金ショートを起こす原因となります。常に「オプション額×1.25」の余裕を持った資金計画を立てるようにしてください。

外構費用や地盤改良費など諸経費以外に確保しておくべき予算

きこりん税がかからない費用もある

「外構工事費」や「地盤改良工事費」などは、原則として本体工事とは別枠で計算されるため、きこりん税(12%)の連動対象外となるケースが一般的です。(※契約形態による)

家づくりの予算計画において、本体工事費や提案工事費とは別に、絶対に確保しておかなければならない大きな出費があります。それが、庭や駐車場を作る「外構工事費」と、地盤が弱かった場合に杭を打つ「地盤改良工事費」です。これらは金額が大きく、それぞれ150万〜300万円程度かかることも珍しくありません。
ここで一つ朗報なのが、外構工事や地盤改良工事に関しては、一般的に住友林業の「本体工事」とは別枠の見積もりとして処理されるため、きこりん税(12%)が掛けられないことが多いという点です。つまり、外構工事で200万円かかっても、そこに+24万円の諸経費が上乗せされるような地獄の連鎖は発生しません。
ただし、きこりん税がかからないからといって油断は禁物です。特に外構工事は、家づくりの最後に打ち合わせを行うため、「もう予算が全く残っていない」という事態に陥りがちです。契約前の資金計画の段階で、外構費用として最低でも200万円、地盤改良費として150万円(使わなければラッキー)を、絶対に手を付けない「聖域予算」として確保しておくことが、住友林業で予算オーバーを防ぐための最強の防衛策となります。外構費用については住友林業緑化を断って完全外注する減額効果と注意点の記事も非常に参考になります。

施主支給を行うことできこりん税の負担は減らせるのか?

きこりん税の連動アップを防ぎ、少しでも総額を安く抑えたいと考える施主が最後に行き着く裏ワザが「施主支給」です。ハウスメーカー経由で高い設備を買うのではなく、ネット通販などで照明やカーテン、あるいはエアコンなどを自分たちで安く購入し、現場に持ち込んで取り付けてもらうという手法です。
理論上は、施主支給をして住友林業の見積もり(提案工事費)からその項目を削除すれば、それに連動してきこりん税も下がるため、ダブルで安くなるという最強のコストダウン術に思えます。ネットの節約ブログなどでも盛んに推奨されている方法です。
しかし、住友林業という厳格な大手ハウスメーカーにおいて、施主支給はそう簡単にノーリスクで実行できるものではありません。安易に手を出すと、手間の割に全く安くならなかったり、引き渡し後に後悔したりするリスクが潜んでいます。ここでは、施主支給によってきこりん税を減らすテクニックの現実と、その注意点について解説します。

照明やカーテンを施主支給した場合の本体工事費からのマイナス効果

照明器具やカーテンなど、後付けが簡単なものを施主支給するのは非常に効果的です。提案工事費をガッツリと削ることができ、連動してきこりん税も下がります。

施主支給で最も成功しやすく、コストダウン効果が高いのが「照明器具(シーリングライトやペンダントライト)」と「カーテン(レール含む)」の2つです。これらは住友林業のインテリアコーディネーターに依頼すると、定価に近い金額で見積もりされることが多く、家一軒分となると平気で50万円〜80万円ほどの提案工事費が計上されます。
もしこれを、ネット通販やニトリ、IKEAなどで自分たちで手配して施主支給に切り替えれば、住友林業の見積もりから丸ごと50万円を削除することができます。これにより、商品代が安く済むだけでなく、50万円に連動していたきこりん税「6万円(12%)」も無事に消滅します。購入の手間やコーディネートを自分で行う労力はかかりますが、トータルで数十万円の節約になるため、やる価値は十二分にあります。
ただし、ダウンライトなどの「天井に埋め込む照明」や、壁の内部に配線を通す必要がある設備については、電気工事士の資格を持つ職人の手配が必要になるため、施主支給を断られるか、高額な取り付け費を請求されるケースがほとんどです。施主支給をするなら「引っ掛けシーリングにカチッとはめるだけの照明」や「完成後に自分たちで取り付けるカーテン」など、工事を伴わないものに限定するのが鉄則です。

持ち込みにかかる保管料や手数料の発生と手間のバランス

大型設備(エアコンや洗面台など)を施主支給しようとすると、メーカー側から「持ち込み手数料」や「保管料」を請求されるケースがあり、結果的に安くならないことが多々あります。

照明やカーテンで味を占め、「それならエアコンやカップボード(食器棚)、洗面台も全部ネットで安く買って持ち込もう!」と考えるかもしれませんが、ここは要注意です。住友林業では、家と一体化するような大型設備や工事を伴う水回りの施主支給に対しては、非常に厳格なルールを設けています。
施主支給品を現場で大工さんに取り付けてもらう場合、「支給品取り付け手数料」といった名目で高額な施工費を請求されます。また、ネットで注文した巨大な設備が現場に早く届きすぎた場合、それを保管しておくスペースがないため、現場を混乱させる原因となります。さらに最悪なのが、「支給された設備が初期不良で動かなかった場合」や「数年後に水漏れが発生した場合」です。住友林業の保証対象外となるため、自分たちでメーカーに連絡して修理手配をしなければならず、トラブルの責任の所在が曖昧になってしまいます。
きこりん税を減らしたい一心で何でもかんでも施主支給にしてしまうと、手数料で相殺されて大して安くならないばかりか、万が一の保証がなくなり、自分たちの首を絞める結果になりかねません。「工事を伴わない後付けの小物」以外は、素直に住友林業(提案工事)でお願いし、きこりん税という名の「安心と保証の保険料」を払っておくのが、高級注文住宅における最も賢くストレスのない選択と言えるでしょう。施主支給の細かいルールについては住友林業で持ち込みOKな設備と断られる基準の記事も必ず目を通しておいてください。

【まとめ】きこりん税を正しく理解して納得のいく家づくりを

住友林業の見積もりにおける最大の鬼門「きこりん税(諸経費)」について、その正体から連動アップの罠、そして賢い減額術までを徹底的に解説してきました。数百万という金額が「諸経費」というたった一言で計上されているのを見ると、誰でも最初は騙されているような気分になるものです。
しかし、その中身が「現場の職人さんが安全に作業するための仮設費用」や「地震に強いBF構法を支える緻密な構造計算費用」であると分かれば、決して無駄なぼったくり費用ではないことが理解できたはずです。他社が本体価格にこっそり隠している経費を、住友林業はガラス張りにして正直に提示しているだけの違いなのです。
重要なのは、オプションを追加するたびに「+12%のきこりん税」が連動して上がっていくというシステムをしっかりと自覚し、カタログ価格の1.25倍を想定した余裕のある資金計画を立てることです。無謀な値引き交渉で疲弊するのではなく、このルールを逆手にとって優先順位の低いオプションを賢く削り、本当にこだわりたい部分にだけ予算を集中させてください。きこりん税を「安心と品質への必要経費」として納得して支払うことができた時、あなたの住友林業での家づくりは大成功へと向かうはずです。

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